とっておきの恋
「え、なんで? なんで?」

珍しくうろたえてたけど、絶対に教えてあげない。

昨日のことも、秘密にしとく。

だって、安部くんと河辺くん、おんなじバドミントン部だよ。

こんな話聞いたら、絶対きまずくなる。



左側から視線を感じた。

カオリン…。



ふと昨日のことを思い出す。

河辺くんが言ってたこと。


『持田さんを見つめる松原さんの視線、あれって単なる友達に向けるものとは違うよ。もっと深くて、濃くて…』



でも、でもさ…。

確かに今のカオリンの目はそんな感じだよ。



カオリンは潤んだ瞳であたしの横顔を見つめる。

とっても深く、とっても濃く、視線を絡み付ける。




あたしの顔が上気した。
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