とっておきの恋
その日はなんだか一日中落ち着かなくて、授業に全く身が入らなかった。



それでもカオリンと一緒にお弁当も食べたし、普通に話もした。

くだらないお笑い芸人の話で盛り上がったし、一見いつもと変わらないんだけど
…。



でも、あたしは常にカオリンの視線が気になってしまって、不自然に目を合わせなかった。



「ねえ、カオリン。前に聞いたじゃん。カオリンて推薦狙ってるのって」

「ああ、あれね」

「カオリンなら学校推薦だって余裕で取れるでしょ。W大だってK大だって」

「そうだねえ。悩んではいるんだけど」

「何を悩むの?」



カオリンは少しだけ迷っている風だった。

言うべきか言わないべきか。



「私さ、アメリカの大学に行こうって思ってるんだ」
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