とっておきの恋
「ちょっと、どうした? エリちゃん」
安部くんが教室に飛び込んできた。
あたしの泣き顔を見て、慌てて駆け寄る。
「なんでもないの…」
声を出すごとに一粒二粒涙が零れ落ち、とまらなくなってしまった。
「わかった。松原だろ。松原がエリちゃんいじめたんだろ」
そう言って、あたしの向かいに座るカオリンに向かってグーパンチをするふりをする安部くん。
「違うよ、ねえ、エリ!」
カオリンは安部くんのパンチをかわしながら、腕をつかみ逆にひねる。
「い、痛いって、やめろ~!」
あたしを元気付けるために、おどけてみせるそのやさしさが、温かくて、嬉しくて、ただただ泣けた。
それと同時に、二人の様子があまりに自然で、あたしの知らない時間を二人が共有してきたことを証明しているかのように思えた。
あうんの呼吸がここにはある。
あたしとの間にはできていない、心地よい呼吸が。
安部くんが教室に飛び込んできた。
あたしの泣き顔を見て、慌てて駆け寄る。
「なんでもないの…」
声を出すごとに一粒二粒涙が零れ落ち、とまらなくなってしまった。
「わかった。松原だろ。松原がエリちゃんいじめたんだろ」
そう言って、あたしの向かいに座るカオリンに向かってグーパンチをするふりをする安部くん。
「違うよ、ねえ、エリ!」
カオリンは安部くんのパンチをかわしながら、腕をつかみ逆にひねる。
「い、痛いって、やめろ~!」
あたしを元気付けるために、おどけてみせるそのやさしさが、温かくて、嬉しくて、ただただ泣けた。
それと同時に、二人の様子があまりに自然で、あたしの知らない時間を二人が共有してきたことを証明しているかのように思えた。
あうんの呼吸がここにはある。
あたしとの間にはできていない、心地よい呼吸が。