とっておきの恋
もしかしたら、そうなることを計算していたのかもしれない。

だって、安部くんはあまりに自然にあたしを受け止めた。

カバンを放り投げて、「俺も」って囁く。



「あたしさ、安部くんとずっと一緒にいたいな」

「うん」

「将来の職業って長田に言われたけど、安部くんの奥さんじゃだめかな」


安部くんは「うん」とは言わなかった。

あたしの体を離し、「それはズル」って笑った。



あたしはなんだか深く傷ついて、意地悪になってしまった。
< 134 / 203 >

この作品をシェア

pagetop