とっておきの恋
あたしはこの3日間を埋めるように、よくしゃべり、よく笑った。

安部くんがそんなあたしを優しく見守っていてくれてるのもわかって、あたしはとても幸せな気持ちでいた。



「おっ、持田、やっと復活だな」

長田先生が、出席簿であたしの頭をぽんとはたく。

「先生、あたしね。見つかりました」

一瞬目を丸くした長田先生だけど、にっと笑った。

「熱出したら、何か見えていたのか」

「はい、見えました」



安部くんは、犯罪被害者を守るために弁護士になりたいと言った。

カオリンは、心を病んだ人のためにセラピストになりたいと言った。

そして、あたしは、カウンセラーになりたいと思う。

誰かのために役に立ちたい。

そう思った。



でもまずは、カオリン、あなたの役に立ちたい。
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