とっておきの恋
お昼ごはんを食べながら、カオリンが言った。

「ねえ、エリ。安部っち、何か言ったの? エリに」

感づいたか、カオリン。

確かにあたしの豹変振りを見たら、普通気づくね。

「うん、聞いた。全部聞いた」

「そっか…」

カオリンは一瞬寂しそうな表情を浮かべた。

どこか遠くを見ているようであたしは不安になる。

「ねえ、カオリン。あたしはずっとカオリンにおんぶに抱っこで甘えてばかりで、ごめんね」

「やだ、何あやまってんの」

「あたしね反省したの。カオリンと対等になりたいって思ったの。カオリンもあたしになんでも話して。あたしもカオリンの力になりたいの。あたしも…」

カオリンはため息をついた。

「エリ、ありがとう。でもね、人間の性質は簡単には変わらない。今の私が私だと思うし、私はそれでいいと思ってる」

寄せ付けなかった。

その一言でカオリンはすべてを終えようとした。
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