とっておきの恋
「俺はさ、弁護士になるべくして生まれてきたんだぜ。安部っちとは資質が違うの。それなのにさ、何を血迷ったか、安部っちいきなり弁護士になりたいなんて言い出してさ。身の程知らずとはまさにこのことさ」

そう言って、河辺くんは天井を向いてゲラゲラ笑い出した。

「あいつの存在からしてむかつくんだよね。自分がいちばんみたいな顔して、肩で風切っちゃってさ。勘違いもいいところ」

「……」

「エリちゃんみたいなのが悪いんだよ。あいつを付け上がらせるからさ」

あたしはなんとかここから逃げ出せないかと必死に考えていた。

でも、手も足もしっかり縛られていてほどけそうもない。

「俺さ、安部っちを懲らしめてやろうと思ってるんだ。あいつの大切なエリちゃんを汚したら、安部っち一体どう思うんだろう」


あたしは恐怖のあまり声が出なかった。

この人、本気だ。

本気でやろうと思ってる。

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