とっておきの恋
「怖がっているエリちゃんもかわいいね。写メ撮っちゃおうかな」

そう言って、河辺くんが携帯に手を伸ばした。


今だ。

あたしは、全身の力を振り絞って上半身を持ち上げた。

そしてその反動を利用して、跳ね上がるようにして立ち上がる。


「逃げれるわけないだろ」

一瞬顔をゆがめたが、またすぐに異様な微笑を浮かべ、河辺くんは言った。

そしてその手をゆっくりとあたしの口元に伸ばした。



あたしは必死だった。

河辺くんの指に思いっきり噛み付いた。





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