とっておきの恋
「痛ェッ!!!」

あたしは噛むのをやめなかった。

ここで致命傷を与えなければ、自分がやられる。

だから必死で噛み付いていた。



河辺くんは痛みに耐えられず、あたしの口から指をはずそうと必死だった。

空いているほうの手で、またあたしの顔を殴る。

一発、二発…三発。



あたしは思わず口を開いた。

そして河辺くんがうずくまっている隙にその部屋から飛び出した。


「助けて! 誰か、助けて!!」


あたしはありったけの声で叫んでいた。


お願い、誰か。


あたしを助けて。
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