とっておきの恋
「えっと、あの…僕は…」

遠藤くんはしどろもどろ。

暗がりだからよくわからないけど、たぶん真っ赤になっていたと思う。

「持田さんが心配だったから…」

遠藤くんは、あのあと心配になってあたしのことを探していたみたい。

でもあたしのアドレスもわからないし、本当に思いつくままに学校内を探し回って、ちょうど旧校舎の前に差し掛かったとき、あたしの悲鳴が聞こえたって言ってた。

それで、そこらへんに落ちていた鉄パイプを拾って、無我夢中で河辺くんの頭を殴ったんだって!


あたしは、遠藤くんのそばに立つ。

「遠藤くんがいなかったら、あたし今頃…。本当にありがとう。遠藤くんは正義の味方だよ」

そしてぎゅっと遠藤くんの手を握った。

「せ、正義の味方?」

遠藤くんはちょっとかみながら聞き返す。

「うん。すごくかっこよかった。遠藤くんはあたしのヒーローだよ」
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