とっておきの恋
「エリ!」

カオリンが右手を上げる。

カオリンはあの一件以来すっかり涙もろくなった。

今だって、ほら、あたしを見つめる目はうるうるしてる。

「エリ、本当に無事でよかった」

そう言って何度抱きしめたことか。

「あたしね、エリにもしものことがあったら、もう生きてられないよ。あんな思いはもうたくさん。あたしが変わってあげたらよかった」

「何言ってるの。カオリンがあんな目にあったら、あたしが死んじゃうよ。あたしはカオリンに幸せになってもらいたいの」

「エリ…」

ほら、カオリンまた泣いてるよ。

あーあ、これたぶん当分治らないねえ。
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