とっておきの恋
翌週の金曜日、今日がその校外学習の日。

あたしたちの班は、銀座線浅草駅の改札を出たところに待ち合わせ。

今日は午後3時の集合時間まですべて自由行動。

班単位での活動となる。




『エリ、なんかあったら、私の携帯鳴らしてよね』

昨夜の電話でカオリンたらそんなことを言う。

『なんかって何よ?』

『だって、安部っちと一緒でしょ。あいついまいち信用置けないんだよね』

『何言ってんの。カオリンは中学から一緒なんでしょ。そんな言い方よくないよ』

『中学からじゃないよ、2,3歳の記憶にも安部っちがいるんだよ。小さい時からのやつの性格知ってるから、心配なんだって!』

『えー! じゃあ、安部くんとカオリンて幼馴染ってこと?』



羨ましい!!!

きっと小さい時から安部くんは美形だったんだろうな。

あたしも幼馴染になりたかったよ。




『まあ、とにかく、明日は別行動だけど、同じ浅草にはいるんだからさ。なんか会ったら電話してよ』



カオリンはそう念を押して、電話を切ってしまった。



なんで、カオリンはそこまで安部くんを悪く言うかなあ。


やっぱ、カオリンのキスの相手って安部くんなの?
< 31 / 203 >

この作品をシェア

pagetop