とっておきの恋
「おう、お待たせ~」

「エリちゃん、待った?」



安部くんと河辺くんは集合時間ちょうどにやってきた。



遠藤くんが時計に目をやる。

「時間です。行きましょう」



歩き出す遠藤くんに遅れまいと、あたしたちはあわてて駆け出す。

「ちょっと待って。おいてくなよ~!」


まだまだ人の多い時間帯。

うっかりすれば見失ってしまう。



「待ってよ、遠藤くん。遠藤くん背高くないから人ごみにまぎれたら見えなくなっちゃう」


すると遠藤くんはぴたっと足を止めた。

そしてあらかじめ用意してきたらしい、赤いキャップをかぶった。



「これで見失わないでしょう」







こうしてあたしたちの校外学習はスタートした。
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