とっておきの恋
すると遠藤くんが言った。


「これから雷門に入りますよ。この時期、観光客がいっぱいいますし、そうしたらまた人ごみになりますからね。やっぱり持田さんの手、つないであげてたほうがいいんじゃないですか?」


遠藤くん、また真顔だよ。



「そうだよね! エリちゃんが迷子になったらたいへんだからさ」


そう言って、安部くんは嬉しそうにあたしの肩を抱き寄せた。




ブレザーのエンブレムに額があたる。


エンジ色のネクタイが目に入る。




あ…。

やばい。

まじでくらくらするよ~。



あたしは安部くんの魔法にかけられたみたいに、子犬のように身を預けた。


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