とっておきの恋
「持田さんて入学式のときから松原さんと一緒だったでしょ。そのときから仲良しだった?」

「うん、あの日、隣に並んだのがきっかけでそれからずっと」

「ふーん」



河辺くんは何か言いたげな顔をしていたけど、それ以上何も言わなかった。



「さてと、そろそろ行かないと」

遠藤くんが腕時計を確認した。

「では、行きますよ。安部くん、持田さんがはぐれないようにお願いしますよ」


遠藤くんはくるりと目的の方向を向くとさっさと歩き出した。

赤いキャップがまるでパトカーのサイレンのようだよ。



「なんか、遠藤今日は別人じゃないか」

河辺くんが眉をひそめる。



そうだよね、昨日だって消え入りそうな小さな声だったし…。



「あいつ、いつも影薄いのにさ、今日はなんか存在感大!」

安部くんが嬉しそうに笑う。



「始発に乗って東京メトロ乗りまくったって言ってたのに、すっごく元気」



「えー、まじで?」


川辺くんと安部くん、声をそろえて驚いていた。


「さすが鉄オタ!」







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