とっておきの恋
雷門前はたくさんの人であふれかえっていた。

団体旅行のお客さんと思われる人たちが、黄色い旗を持つおねえさんのあとをついてまわっている。

外人客の団体もいるし、修学旅行生もいるしで、確かに迷子になりそう。



「エリちゃん、大丈夫だよ。ほら」


そう言って、安部くんは大きな手であたしに差し出す。



「絶対、離さないから。安心して」


「うん」



さっきほどではないけど、やっぱり胸がトクンと鳴った。


でも、今度は自分から安部くんの手のひらに自分の手を重ねた。


安部くんの手はやっぱりあったかくてたくましくて、このままずっとつないでいたいって思う。


そして、さっきみたいに半歩安部くんの後ろを歩き始めた。



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