とっておきの恋
安部くんは、あたしの携帯に手を伸ばし「ちょっと貸して」と言って取り上げた。

そして携帯の画面を見ると、にやって笑って、そのまま電源を切ってしまった。



「待って、安部くん！」


まさかいきなり電源切るなんて思ってもなかった。

でも安倍くんはいつもと変わらないくしゃくしゃの笑顔をあたしに向ける。


「だって一応授業中だよ。携帯鳴らす松原の方が悪い」



そしてあたしの携帯を自分のポケットに入れてしまった。



「あ…安部くん？」


携帯返してって言えなかった。

それより、あたしのピンクの携帯が安部くんのポケットの中に入っているって思うともうそれだけでドキドキしちゃって…。



「さ、行こうか」


安部くんは今度はちょっと強引なくらいに力をこめて、あたしの手を握った。

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