とっておきの恋
教室に入ると黒板に「好きな席に座ってください」と書いてあった。

そういえば、休み明けに席替えするって言ってったっけ。

それまでは出席番号順だったんだけど。

あたしがもたもたしている間にカオリンが窓際の後ろの方の席をゲット。

で、遅れまいとあたしもあわててその隣に座る。




すると、「松原、俺おまえの後ろにした」って、その声、安部くんだよ。



ってことはだよ、あたしの斜め後ろに安部くんが座ってるってことで、あたしは、あたしは…そう考えるだけで胸がどきどきして息苦しくなっていた。



「ラッキー！　エリちゃんの近くだ」


そんなふうに親しげに呼びかけられちゃうと、あたし、どうしたらいいかわからなくなるよ。

あたしはぷいっと前を向いたまま、振り返ることができなくなってしまった。



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