とっておきの恋
あたしたちはうやうやしくスタッフルームに通された。



中は、簡素な事務所ふうな部屋で、中央に大きなテーブルが置かれている。

その周りに並べられたパイプ椅子にあたしたちは一列に並んで座った。


「遠藤くん、何質問するの?」

あたしは隣に座る遠藤くんのわき腹を肘でつっついた。

「何って、自分が関心あることだよ、決まってるだろ」

「はあ」

「それより、持田さんは? 持田さんが花やかたに行きたいって言い出したんだから、ちゃんと質問考えてきてるんだろうね」



ぎくり!

そんな、考えてるわけないじゃない。

昨日の夜だって、カオリンと安部くんがキスしてる図を想像して一人悶々としてたんだからさ。



「か、考えてるわよ。当たり前じゃない!」



なぜか遠藤くんには男を感じないので思ったことをずばずば言える。


遠藤くんは「ふん!」と鼻を鳴らすと、持ってきた資料に目を通した。







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