とっておきの恋
「お待たせしました」


ドアが開いて入ってきたのは、スーツ姿の男性。


みんなが立ち上がったので、あたしもまねして起立。



「広報の岡村と言います」


岡村さんは代表して遠藤くんに名刺を渡した。


「まあ、座ってください」


パイプ椅子に腰を下ろしながら、岡村さんは微笑んだ。


「それにしても、感激だな。遠藤君からメールもらったときは嬉しくってね。最近の子達はホームページ見てそれで「はい、おしまい!」って子が多いのに…」


ぎくり!

それってあたしのことじゃん。


「社会科見学で来るので直接話を聞きたいなんてね。しかも君たちS学院の生徒さんでしょ。すごいね、東大とか狙ってるの?」


まさか!

あたしが東大なんか行けるわけないじゃんね~。



でも、ちらりと左右を見たら、3人とも落ち着き払った謙虚な笑顔浮かべてるし。

そうだった。

うちの学校ってみんな頭いいんだった。

この中であたしだけだよ。

赤点ぎりぎりラインは~!!


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