とっておきの恋
「そうなんです。そのために一時期取り壊すことになってしまって…。動物たちにもかわいそうなことをしたって、先代から伝えられています」



岡村さんは、目を輝かせてまるで子どものよう。



遠藤くんも、河辺くんも、安部くんもすごいよ!

かっこよすぎる。

大人の人とこんなふうに肩を並べて同じテーブルにつくことができるなんて!



「さすがS学院の生徒さんは違いますね。僕もこんなに高揚して花やかたのことを話せるなんて思ってもいませんでした」


岡村さんは、あたしの存在を見落としていたことに今更ながら気づいたようだ。

はっとした顔で、あたしの顔を見つめる。



「いやあ、紅一点のお嬢さんに話す隙を与えず失礼しました。お嬢さんもご質問があったらどうぞ」


岡村さんはスマートなビジネススマイルをあたしに投げかける。
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