とっておきの恋
「それじゃ、エリちゃん。ローラーコースターから乗ろう!」


あ、まただ。

安部くんの大きな手がふわりとあたしの手を包む。


うう。

またほっぺたが熱いよ。



でも、不思議。

体が軽い。


なんだか羽が生えたみたい。



安部くんみたいな、天使の羽、あたしの背中にも生えたのかな。



あたしはふわふわと空中を飛び跳ねながら、安部くんのあとを行く。



「ねえ、見て。あのこ、すごくかっこいい!」



修学旅行の子たちが、安部くんに見とれてる。


ね、安部くんて素敵でしょ。

ほんとにかっこいいでしょ。



女の子たちのうっとりした視線を受けて、あたしもとろけちゃいそう。


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