とっておきの恋
ローラーコースターの乗り場へと続く階段を上ると、すでに河辺くんと遠藤くんが座席に座り安全ベルトを締めていた。

「遅いって。早く、早く」


安部くんは、自分が先に乗り込んだ。

「おいで、エリちゃん」



そう言って、あたしの体を抱き上げた。



「きゃ!」


あたしの体はすっぽり安部くんの腕の中におさまる。


安部くんの顔が至近距離…。



ばさばさの長いまつげがこんな近くに!


その薄い唇がこう言った。


「エリちゃんは俺のもの」
< 59 / 203 >

この作品をシェア

pagetop