とっておきの恋
「エリ、安部っちの言うことなんか気にしないでよ。あいつみんなにそんなこと言ってるんだからさ」


カオリンの言葉が胸にぐさぐさと突き刺さる。

そっか…。

誰にでも言ってるセリフなんだ。

それなのに、あたしったらどぎまぎしちゃって…。

なんかかっこ悪いよ。




余計に振り返ることができなくなってしまった。

安部くんの顔みたら、ふつうの笑顔なんかきっとできなくなる。

きっと涙目の情けない顔になっちゃう。



だから、あたしは前を向いたきり、携帯をいじるふりをしていた。

本当はメールなんかきてないくせに。

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