とっておきの恋
安部くんはひょいとかがんであたしを座席に下ろす。

そして座席ベルトをはめてくれた。




「エリちゃん、これ乗ったことある?」

安部くんは自分のベルトをはめながらあたしの方をちらりと横目で見る。

「ううん、はじめて」

「俺さ、中学の頃初めて乗ったんだけど、このコースターすごくおもしろいんだよ」

「へえ」

「もしも怖くても、絶対に目つぶっちゃだめだからね」



それと同時にコースターが動き出した。

はじめはゆっくりと目の前の坂を登っていく。





カシャッ、カシャッ、カシャッ…。


小気味よくレールにリズムを刻みながら、コースターは登っていく。

まるでカウントダウンをするかのように。

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