とっておきの恋
坂の頂点までやってきた。

ここからは浅草の街が一望できる。

民家の屋根を下に見下ろすと、涼しげな風が頬を撫でた。



あたしは前のバーをぎゅっと力を込めて握る。

その右手に重ねるようにして、大きな骨ばった手が舞い降りた。



「安部くん?」

あたしの右に座る安部くんはくしゃくしゃっと笑った。

「さあ、行くよ!」




シャーーーーーーッ!!!




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