とっておきの恋
それなのにあたしったらキョドってる。

なんかスターと一緒にいるパンピーって感じで…。

安部くんに手をひかれてうつむきながら歩く。

でも、安部くんは、そのきれいな顔をいちばんきれいな姿勢であごを引き、颯爽と歩くんだ。

この世で俺がいちばんかっこいいオーラを出しながら。



そしてさりげなくあたしの肩に腕を回し、耳元で囁くの。

「エリちゃんのワンピ、すっごくかわいいよ。似合ってる」



あたしは、とろけちゃうよ。

甘い甘いチョコレートみたいに。

真夏に車内に置き去りにされた板チョコみたいに原型をなくしてしまったあたし。

だってそんな耳元で言われたらさ、完全オーバーヒートしちゃうよ。
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