とっておきの恋
映画のあとごはんに行った。

安部くんは「どこか行きたいとこある?」って聞いてくれたんだけど、だめだめなあたしは「どこでもいい」

そしたら安部くんは、映画館の近くのカフェに連れて行ってくれたんだ。

ログハウス風の建物でいかにも女の子が喜びそうな、そんなお店。

「エリちゃん、ここでいい?」

窓際の席に座ると、安部くんの髪がまた金色に透ける。

「何?」

あたしが見とれていると、安部くんは困ったような顔になる。

「え…っと…金髪みたいって」

「ああ、これ!」

安部くんは自分の髪をくるくると指にからめてみせた。

「俺色素薄いんだよね。子どもの頃は外人て言われて嫌だったよ」

「子どもの頃?」

「そう。幼稚園ぐらいからよくからかわれてた」

「カオリンも?」

「あ…松原?」

一瞬戸惑ったような表情を浮かべたと思った。

気のせい?

「なんで?」

「幼馴染だってカオリンが言ってたから」
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