とっておきの恋
体育館にいたみんなの視線が集まる。

女子バド部の子達も「安部っちの彼女だって」って言ってるよ。

あたしは真っ赤になってその場で立ち尽くしてると、安部くんが走ってきた。

そして、「河辺、ちょっと抜けるからあとよろしく」

そう言って、あたしの手をつかんだ。

「ここじゃ、なんだから」

安部くんはちょっと強引なくらいにあたしをひっぱってずんずん走る。

そして男子バドミントン部の部室のドアを開けた。

「ここなら邪魔ものはいないから」

あたしははじめて入る部室にどぎまぎしていて、たぶん困った顔をしていたんだと思う。

安部くんはパイプ椅子を開いて、「ここに座って」とあたしの頭をぽんぽん撫でた。
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