小さな小さな恋物語
「最初はさ、智流君を見たり話したりしただけで心臓が高鳴ったり、顔が暑くなったりしたでしょう?」


「うっうん」


『聞くな』って頭の中で響き渡る。


「会いたいとか、一緒にいたいって思うでしょ?」


『聞くな!耳を貸すな。』って、さらに大きな声で響き渡っていく。


「ごめん。その話は自分で理解したいから言わなくていいよ。教えなくていいよ」


頭に響く声に堪えられなくかった。


今は聞いてはいけない話だと思うから。


亜依は残念そうな顔で、『そう』って呟いた。


「じゃあ、あたし行くね」


あたしは自分の荷物を持って教室を出て行った。



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