小さな小さな恋物語
「で、俺は伝えたんだ。母さんにやりたいことがあるんだってな。


そしたら、


『これでお前も一人前になったんだね』


母さんは泣きながらそんなことを言ったんだ。」


「どういうこと? 受験をしないって告げるだけで一人前って…」


佑希ちゃんは小首を傾げながら呟いた。


「俺もそう思った。まっ、聞いてみたらわかるよ」


さらに話を続けた。



「あとから聞いたら、ウチの伝統は無理難題を吹っかけといて、断れば一人前になれるんだそうだ。

流華姉も同じように受験しろって言われたらしいから」


「断ってナシにしてもらったのになんで大桐学園を受験したの?」


いつの間にか亜依ちゃんも参加していた。


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