小さな小さな恋物語
佑希って変なヤツだ。言ってることとやってることが全然違う。


俺は笑いをこらえながら佑希を見ていると、


「それにしても、なんでこうも簡単に窓が開いたの?」


佑希はごもっともなことを聞いてきた。


「あぁ、それは…
小6の始めに野球やってたらボールがこの窓に当たったんだ。
ガラスじゃなくて金属の部分だけどな」


「それで簡単に開いたと」


佑希は納得の声をあげる。


「そんなとこかな。で、今からどこに行く?」


「うーん。そうだな…
久々に教室に行きたい!」


佑希は楽しそうに言った。


こういうところが好きだなぁ。やっぱり。


「智流?」


佑希は不思議そうな顔で俺の顔を見ていた。


「ん? なんでもない。そんじゃあ、教室にでも行こうか」


俺がニッコリ微笑みながら言うと佑希も一緒になって笑ってくれた。


俺はこの笑顔を守りたいんだって本気で思ったんだ。



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