小さな小さな恋物語
それにしても、智流が超鈍感の黒川を好きになるとはね。


初恋なのに結構大変じゃね?


「ねえ? あの二人、うまくいくと思う?」


今まで、顔を真っ赤にしていたのに平然とした顔で聞いてきた。


「それは本人次第だと思うぜ?
俺達は何もしないで見守ってやろうぜ。智流も『恋愛の達人』って二つ名があるんだし、うまくやると思うしな」


「そうだけどさ。つまんない」


亜依は心底つまらなそうに嘆いた。


そういえば、こいつはこういうヤツだったな。


俺は苦笑いをしながら、


「これ以上は亜依に付き合う気はないから帰るな」



そう言った後にランドセルを背負った。


「あたしも帰るから、一緒に帰ろ?」


「お前、好きなヤツいなかったか?」


「いたけど、その人に好きな人がいたから諦めた」


亜依はサラリッと言ってのけ、教室から出ていった。


これは待ってなきゃいけないのか?


俺はそう思いながらも亜依の教室へと向かった。




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