深紅の瞳

家に着き手当てをしようと男の傷口を見た芽衣は驚いた。

あれほど出ていた血が本当に止まっていたのだ。

しかし傷はとても痛々しくパックリと開いていたので、救急箱にあった消毒液と傷薬で処置をし、ガーゼを当て包帯を巻くという簡易的な手当てをした。


「応急処置なので、悪化しそうだったら病院に行ってくださいね。

それとよかったらその血まみれの服、洗濯しましょうか？

アイロンもあるので、少し時間はかかりますがそのままよりマシかと……」


芽衣は手当てをするために脱いだ男のジャケットを見つめながらそう問いかけたが、男はその問いかけには答えず違う質問を投げてきた。


『この家には君一人？』

「はい。両親は海外で撮影してます」

『撮影？』

「母がモデルをやっていて、父はその専属カメラマンなので」