流れる星を見つけたら
その後
5人ほどお客さんが入り
営業時間前だったけど
扉に鍵をかけ店仕舞いしていると
「早いのねー」
歌うようにサンドイッチ占いのお姉さんが私の前に現れた。
モダン和服から着替えたお姉さんは
見事な
ゴズロリ。
黒のフワフワの総レースのスカート。
上は白のフリフリブラウス
細い黒のサテンのリボンがキュートだわ。
さっきまで
私と同じ身長だったのに
10センチ以上高くなってない?
そのボブの茶髪にのせてるデカいリボンのせい?
いや
黒いタイツのその先に
これまた総レースの厚底靴を履いている。
「お昼に話が弾んでしまって、お店に出る時間が少なくなったの。余ったパンをあげるわ」
小さな黒いトランクケースからパンを取り出し私にくれる。
パンは普通だな。
ヤマザキの食パンだ。
私は頭を下げて
厚底靴を軽々と操り歩くお姉さんの隣を歩く。
「下のジュエリーショップを覗いてみましょうか」
上品に言い
ふたりで事件の起きた店をさりげなく覗くと
軽くロープが張られ
例の刑事がショーウインドをジッと見ていた。
まだ居たんだ。
無視したかったけど
あちらの目が先に私達を捕える。
「今、お帰りですか?」
軽く手を上げて
やっぱり爽やか。
「ええ。貴方はまだお仕事?」
「ちょっと確認したくて、一度署に戻ったんですがまた来ました」
「熱心ね」
そう言いながら
私の腕をつかみ
お姉さんは刑事の前に進んでゆく。
いつの間に
こんなに仲良くなったの?