流れる星を見つけたら
「犯人誰なの?」
我慢できずに口を挟むと

「教えなーい」と、ふざけた答えが出てきたのでガツンと頭に響く。

「じゃあ帰る」
本気でひとりで帰ろうとすると「ご飯付き合ってくれたら教える」背中から涼しげな声がした。

「社長とご飯食べる約束しているので」

思わず振り返ってしまった私。
「社長?どこの社長?」

「ここの社長」

ったらマー君か?

「ケーキ買って家に一度帰ってから、またこっちに来る予定になってます。そろそろ来るでしょう」
刑事は腕時計を見てうなずいている。

うん
確かにママにケーキを頼まれてたな。
でも
いつの間に
そんな仲良くなったのだ?

「社長も来るの?」
ゴズロリお姉さんは白いレースの手袋を優雅に頬に当てる。

おねーさん

社長がタイプなの?
顔はいいけど
マザコン俺様だよ。

「美味しいイタリアンの店があるらしく、そこに連れて行ってもらいます。よかったらご一緒しませんか?」

笑顔が爽やかでムカつく。

「そうね楽しみだわ」
お姉さんは高い声を出し「お化粧直してくるから絶対置いていかないでね」って眼力厳しく厚底靴でメイク直しに走る。

勝手に話を進められ
ボーっと見ていると

「僕とじゃ嫌?」

うん。
このふざけた感じが嫌。
でも
美味しいイタリアンに揺らめく私。

「犯人教えてくれるんでしょう」

「教える」

いいのか
そんな軽い返事で。
捜査状況を民間人に教えていいのか?

「ベッドの中で教える」

はぁ?
聞き間違い?
私ってそんな聞き間違いするほど、欲求不満になってるの?自分が怖いわ。しかもこんな見かけ爽やかだけど腹黒邪悪キャラに……

頭を混乱させてると

「手取り足取りで教える」

聞き間違いではなさそうだ。

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