流れる星を見つけたら
4畳半ほどの狭い部屋
アロマポットを置き
ラベンダーの香りでリラックスさせる。
壁はユザワヤで買った紺のサテン生地を貼り、アンティークに見える古ぼけたテーブルとイスを用意して、薄明りの中私はお客さんの生年月日を聞き、星の動きを計算する……自信はないが。
「恋愛のご相談ですね」
「はい」
38歳
独身
薄化粧で
生活に疲れた感のあるお姉さんが、仕事帰りなのか制服のまま私の前に座る。
差し出された手は乾燥肌で
ネイルは無し。
眼はくぼみ
化粧も薄い。
髪は手入れが楽そうなボブ。
でもボサボサ系で
手入れはしてない。
生年月日を聞き
手相を見ながら
お姉さんは重い口を開く
「出会いがありません」
なるほど。
「先日、婚活サイトに登録して……業者に30万支払いましたが、結果がでません」
カモです
それは騙されてます。
「退屈な事務仕事を繰り返す毎日。私の人生はこれでいいのか」
人生
そんなもんです。
仕事と寝る場所があるだけで感謝なさい。
「でも、きっとどこかに王子様がいるんです」
表情が変わったねお姉さん。
「ずっと待ってるけど、まだ出て来ないんです」
こねーよ。
「お金持ちでイケメンの王子様が出てきたら、私の人生変わると思うのです。仕事を辞めて専業主婦になってエステに行って旅行を楽しみ、イケメンの王子様とイチャイチャしたいんです」
ザ・他力本願!
「いつ出会えます?」
ずっと待ってろ。
とも言えず
私は真剣な顔で手相を見ながら
静かに声を出す。