流れる星を見つけたら
それは鳥羽一郎


次の日

店の扉に
臨時休業の張り紙を貼る。

しっかり生活の為、働かなければいけないのだけれども、今の私にそんな気力はない。

ハローワーク行こうか。

手を腰に当て
張り紙を見て気合を入れ
振り返りビルを出ようとすると

「お休みなのぉ?」

ぐわぁっ!
いつの間にかサンドイッチ占いのお姉さんが私の背後に立ってるし。

スゴ腕の暗殺者かっ!

「今日はお休み?」

「はい」

「いつまで?」

いつまでときたか

「えっと、二・三日か」
一週間か一ヶ月か……ずっと。

「寂しいから早く帰って来てね。旅行でも?」

「いえ、その……」

商売以外の嘘は苦手。
どう説明しようか悩んでいると

「ねぇ見てくれる?」

お姉さんは私の答を無視して、ひらひらと左手を私の目の高さに置きながら踊らせる。

とっ!
キラキラと光るものが
そのゴージャスなネイルの指で輝いていた。

♪ダイアモンドだわぁ

大きい
かなりデカい!

いかにもダイヤ
THE ダイヤ!
そんな指輪がお姉さんの指にはまっていた。

「社長に買ってもらっちゃった」

うふふと笑うお姉さん。

『捕ったどーー』って、無人島で叫ぶお笑い芸人と重なってしまう。
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