流れる星を見つけたら
アイツに会う。
アイツと会って話をする。
もう
二度と顔も見たくないと思っていたのに
どうしよう
このまま
連絡しなかったら
これっきりで縁も切れるだろう。
連絡しなきゃいいじゃない
私は勢いよくエレベーター前に行き、そこのゴミ箱に名刺を捨てた。
さよなら
邪悪な刑事さん。
奥歯をギュッと噛み
逃げるようにその場所を去って
逆方向に足を向けたけど
途中で身体が固まった。
さっきの彼の目が焼き付いている
いつもの皮肉な目じゃなくて
人を馬鹿にしている顔つきじゃなくて
本気で
申し訳なさそうな顔だった。
私はまた戻り
ゴミ箱から名刺を取り出すと
「ゴミ箱あさるほど生活に困ってるのか!」
と、言われた。
顔を上げると
社長が泣きそうな顔で立っていた。
「へっ?」
「サラ金か?占い師は自分の運命がわからないって言うが、お前がそれか?それなのか?」
「いえ……その…」
社長の必死な顔に引きながら
その手に持っているパンフレットを目にする。
演歌歌手が土曜ワイド劇場さながらの崖を背にして立っているパンフレット。
「あ……山川 豊」
ふと声を出すと
「惜しい、鳥羽一郎だ」
どっちがお兄さんだっけ。