流れる星を見つけたら
「君を見てると頭にカッと血が上って、考えるより行動してしまった」

冷静に言うけど
その言葉はお詫びとは言えないだろ

「警察がそれでいいの?」
チクチク言うと

「ひとりの男としての行動」
眼鏡をキラリンと光らせ
ドヤ顔ではっきり答える。

お詫びも堂々と言うと正論になるんだ。

めんどくさくなってきた。

「わかりました。もういいです」

運ばれてきたコーヒーを口にして、呆れ顔で返事して横を向いてると

「悪かった」ってまた頭を下げる。

嫌味な顔
怒った顔
ドヤ顔
反省した顔

笑った顔

どうしてだろう

こんなに嫌いなヤツなのに

目が離せないし

もっと
笑った顔が見たくなる。

「どこか行くの?」

急に聞かれて「えっ?」と返事

「お店の前に、しばらく留守する看板が出てたから」

見てるなコイツ!
さすが刑事!

「いや……ちょっとね」

「旅行?」

「そんなお金ない」

「じゃあ何?」

「別に関係ない」

「家出する一歩手前の顔してる」

鋭い。

「ハローワークでも行こうかと」

「どうして?」

「誰かさんに詐欺師って言われたから」

「僕のせい?」

「そーゆーワケじゃないけど」

こいつと出会ってから
何となく自分の心が変化してる

運命の赤い糸

イケメンシェフの優しい微笑みが頭に浮かんだ。

「あのさぁ」
一歩踏み込んで話をしようと思っていたら



「ヤダ!偶然」って

例の盗難騒ぎの中心人物であり
目の前の男とデートしていた
ジュエリーショップの店員がゴージャスな装いで私達の前に現れた。

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