流れる星を見つけたら
「ボブ・ディランですね」
信号待ちで
私の涙を無視してシェフが言う。
ボブ・ディラン
名前だけは知っている。
「昔……友人からおススメされて、僕もハマってCDをすぐ買いに行ったら……」
「うん」
「間違ってボズ・スキャッグズって人のCDを買ってきてしまって」
「はぁ……」
「その人の曲がまた良くて、それから大好きになりました」
勝手に爆笑してから
シェフは信号を確認してまた歩き出す。
リアクションに困る人だ
この人の恋人って
どんな人だろ
きっと大物なんだろう。
「始まりは、何でもどうでもいいんですよ」
交差点を歩きながら
シェフは優しく笑って私に言う。
「きっかけはどうでもいい。『好き』と出会えたらそれでいい」
言い切られたので
つい聞いてみる。
「例えば、私に好きな人ができて……相手にはすでに恋人がいる場合は……どうすりゃいいのでしょう」
最近の女子高生でも
こんなくだらない質問しないだろうな
てか
何を聞いてるんだ私。
ふと我に返って
質問を取り消そうとすると
シェフは足を止めた。
歩行者信号がパカパカ点滅してるというのに、あちらから怖い顔したトラックが突っ込みそうなのに
シェフはゆっくりと足を止め
私を見下ろす。
「それは事実なのですか?」
自分の辞書には載ってない
想定外でしょう
そんな
運命を全て握っている天使のような顔をして
スカパーでやっている海外ドラマのスーパーナチュラルに出てくる、ヨレヨレコートを着たマイペース天使のカスティールのような不思議そうな顔で
私を見下ろしていた。
信号待ちで
私の涙を無視してシェフが言う。
ボブ・ディラン
名前だけは知っている。
「昔……友人からおススメされて、僕もハマってCDをすぐ買いに行ったら……」
「うん」
「間違ってボズ・スキャッグズって人のCDを買ってきてしまって」
「はぁ……」
「その人の曲がまた良くて、それから大好きになりました」
勝手に爆笑してから
シェフは信号を確認してまた歩き出す。
リアクションに困る人だ
この人の恋人って
どんな人だろ
きっと大物なんだろう。
「始まりは、何でもどうでもいいんですよ」
交差点を歩きながら
シェフは優しく笑って私に言う。
「きっかけはどうでもいい。『好き』と出会えたらそれでいい」
言い切られたので
つい聞いてみる。
「例えば、私に好きな人ができて……相手にはすでに恋人がいる場合は……どうすりゃいいのでしょう」
最近の女子高生でも
こんなくだらない質問しないだろうな
てか
何を聞いてるんだ私。
ふと我に返って
質問を取り消そうとすると
シェフは足を止めた。
歩行者信号がパカパカ点滅してるというのに、あちらから怖い顔したトラックが突っ込みそうなのに
シェフはゆっくりと足を止め
私を見下ろす。
「それは事実なのですか?」
自分の辞書には載ってない
想定外でしょう
そんな
運命を全て握っている天使のような顔をして
スカパーでやっている海外ドラマのスーパーナチュラルに出てくる、ヨレヨレコートを着たマイペース天使のカスティールのような不思議そうな顔で
私を見下ろしていた。