流れる星を見つけたら
「現行犯で逮捕する」

ほとんど半殺し状態
大丈夫か?
殺してない?

倒れ込む強盗にもう一度蹴りを入れてから、ゼーゼー言いながら私の元へアイツは現れた。

「大丈夫?」

地面に座る私に自分も背中を丸め、私に目線を合わせて真剣に聞く。

大丈夫って言いたいけど
大丈夫じゃないし
声も……出ないし

「痛い所ない?」
苦い顔で私の喉元を指で触る

ナイフの傷があるのだろうか
自分のハンカチを取り出し、そっと私の喉を押さえる。

「切り傷ぐらいのケガだから、大丈夫だよ」
優しい声をその時出されれ
安心したのか
一気に恐怖が蘇る。

「怖かったよ」
蚊の鳴くような声を出すと

「もう大丈夫だよ」
今までにない優しい顔をして、私を見ていた。


すると

奥の方でゴソゴソと動き
さっきの強盗が立ち上がり逃げようとしていた

「待て!変態!」
追いかけようとする彼の手を捕え、私は「ひとりにしないで」と大きく叫ぶ。

こんな大きな声が出るのなら
どうして大事な時に出さないの私。

最低。
また涙が出てきそう。

彼は追いかけたいのをかなり我慢して、私の身体を抱き寄せた。

あったかい

安心できる男の人の胸。

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