流れる星を見つけたら
どのくらい経ったのだろう
涙も落ち着き
「ありがとう」って軽く彼の胸から離れると、あっちもためらいながら一歩離れる。
「これ」
汚れを払い
バッグを渡して暗がりで見下ろす彼は、とても心配そうな顔をして、いつもの自信満々の顔はどこかへ行ってしまったよう。
「ありがとう」
まだ崩れそうな足をふんばり
何とか礼を言って
乱れている髪を恥ずかしながら直し、胸に手を当て深く息を吸う。
「病院に行こうか?」
「いいよ。大丈夫」
早く自分の部屋に戻りたい。
「警察に行こう」
「めんどくさいもん」
「市民の義務だろう。他に犠牲者が出ると困る」
出た!職業病!
でも
その通りか
あの変なおっさんが、また別な女性を襲うと思ったら腹が立つ。
「うん。でも、もう少し待って」
一歩足を出そうとすると
もつれてバランスを崩し
倒れそうになるのを彼がまた支える。
「無理しないで」
「うん」
離れるのも面倒なので
そのまま
また抱かれる。
恋人のいる男の胸に
抱かれる。