流れる星を見つけたら
ふと顔を上げると
綺麗な顔が見下ろしていた。

眼鏡の奥の目が
今日は澄んでるね。

いつもの邪悪さは無いよ。

「やっぱり病院へ」

「いや、本当にいいから。気が抜けただけ」

そう
身体の芯を抜かれた気分。

ジブリ映画でこんなキャラいなかったっけ。身体がユラユラしているキャラ。
そんな感じ。

心地いいね

好きな人の胸の中は
とっても
温かくて心地よい。

てか
どうしてここに?

「どうしてここにいるの?」
急に現実に戻り
驚いて聞いてしまう。

だって
家なんて教えてないし

暗い夜道ったって
私が襲われる可能性なんて
何パーセントある?

すると
彼は綺麗な顔を濁らせ
小さな声を出す。

「……ラインで……」

はぁ?
何て言った?

「凜子さんがラインで教えてくれた」

ライン?

「今日、社長の家の近くで君が夜道で襲われるかもしれない……って」

崩れている身体がもっと崩れる

ラインって
私は凜子さんの名前も最近知ったのに、みんないつの間にそんな仲になってんだ?
シェフともやってそうだな
私も仲間に入れて

いや
そうじゃないし!!

そんな予感があったなら
凜子さんっ!
私に電話入れるとか……アドレス交換してないから無理か。

帰り際にもっと強く詳しく教えてくれるとか

頭を混乱させていると
腕に回る彼の力が強くなる。

「無事でよかった」

しっかり抱きなおされ

全てもう
どうでもよくなる。
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