モノクロ
 


「じゃあ、またな」

「あぁ」

「はいっ! 今日はいろいろありがとうございました!」


佐山さんに連れられてきたご飯会は、梢ちゃんがいることもあり20時にお開きとなった。

梢ちゃんは遊び疲れてしまったのか、佐山さんの腕に抱かれてすやすやと眠っている。

その寝顔もかわいくて、つい顔が緩んでしまう。


「明希ちゃん、梢と遊んでくれてありがとう。梢、すごく楽しそうだった」

「いえ! 私も梢ちゃんと遊べてすごく楽しかったです! もう、本当にすごくかわいくて、いい子で!」

「当然。俺の娘だからな」

「ふふっ、またいつでも遊んでね」

「はい、是非っ」


ママの顔で梢ちゃんの頭を撫でる若菜さん。

そして会社ではデキル上司の佐山さんもすっかりパパの顔で。

この3ショット、すごくいい。憧れちゃうな……。


「あ、ねぇねぇ、明希ちゃん。ちょっといい?」

「はい?」


若菜さんが近付いてきて、私に耳打ちをする。


「狼には気を付けてねっ」

「……はい?」

「だから、隼人に襲われないようにねっ」

「はいっ!?」


ふふふっと笑って楽しそうに若菜さんは佐山さんの元に寄っていき、腕に絡み付く。

思わぬ言葉に、私はぽかんと口を開けてしまった。

……いやいやいや! 若菜さんってばもしかして、先輩と私が付き合ってると思ってる!?

すっごい勘違いされてませんか!?

 
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