モノクロ
 

手紙はあたたかくて大好きだ。

自分のために時間を使って書かれた文章である上、その文字からは人柄や気持ちがすごく伝わってきて嬉しくなるから。

最後まで目を通すと、そこにはメールアドレスが書いてあった。


「え、このアドレスって……」

「あぁ、若菜の。“もっと話したいから書いちゃえ~!”ってさ。いつでもいいし、メールしてやって」

「はいっ! もちろんです! 嬉しいです~!」

「あと、もう1枚はこずから」

「えっ、梢ちゃんからですか!?」


佐山さんの言葉に、私は慌てて2枚目をめくる。

そこには赤や黄色のクレヨンでぐりぐりと塗りたくった絵があった。

赤い丸は……りんご、かな?


「“りんご、あーちゃにあげるの!”って言いながら楽しそうに塗ってた」

「や、やだ! 超嬉しいんですけど!」

「歌歌いながら、超ご機嫌で。壮絶可愛かった」

「や~佐山さんのその生活、本当に羨ましいですっ」


梢ちゃんがこれを描いている姿を想像するだけでもかわいくて仕方ないのに、実際に目の前でそれが繰り広げられる佐山さんがすごく羨ましすぎる。

でもそれが見れなくても、梢ちゃんが私の為に描いてくれたという絵だけで十分だ。

梢ちゃんからもらう初めてのプレゼントだし、すごく嬉しい!

 
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