モノクロ
 

というか、私にこれがあるってことは……。


「これ、紀村先輩には……」

「え? ないけど」

「わ、勝った!」

「は? 何それ。勝ち負けとかあるのか?」

「や、何となく……あははっ」


先輩の悔しそうな顔が頭に浮かぶ。

先輩には悪いけど、嬉しいな。

若菜さんからの手紙はもちろんのこと、梢ちゃんにもちゃんと私のことを覚えてもらえたんだもん。

しかも、付き合いの長い先輩にはないのに、私にだけくれるなんて、嬉しすぎるでしょ!

先輩、本当にすみませんっ!

もらった手紙を眺めれば眺めるほど、かわいい二人にまた会いたくなってきた。


「また若菜さんと梢ちゃんに会いたいですっ」

「伝えとくよ」

「はいっ」


その日の昼休みを使って、私も若菜さんと梢ちゃんにお返事を書いた。

梢ちゃんにはふーくんの絵を描いてあげたんだけど……佐山さんに見せたら、大爆笑された。

上手く描けたのに何で笑うの?と私は不思議で仕方なかった。


そしてその日の夜、若菜さんにメールを送った。

 
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