モノクロ
「あぁ、そうか。最近の佐々木さんは他に夢中なものあるからか。きむ」
「ちょっ、佐山さん!?」
佐山さんの口から先輩の名前が飛び出しそうになって、慌てて話を遮る。
私たちの会話が聞こえる距離にはみんないるし、キーホルダーに夢中になってるとは言え、さすがによろしくない!
「ふ、そんな慌てなくても」
「慌てますよ! さすがに恥ずかしいですっ!」
周りに聞こえないように、こそこそと佐山さんに言う。
でも佐山さんはそんなのは構わないという感じで、ニヤリと笑い、普通に話を続ける。
「そうなのか?」
「当たり前ですっ」
「ふぅん? いや、でも、佐々木さん、前に比べたらいい顔してるからさ。堂々としてればいいのに」
「……そう、なんですか?」
佐山さんの言葉を真に受けた私はぺたぺたと顔を触るけど、特にお肌の感じは変わってない。
相変わらず、ニキビが殆ど出来ないのが唯一の救いのお肉のたっぷりついたほっぺだ。
でもそれは昔から変わっていないことだし、何が変わったと言うのか。