モノクロ
「誰だと思う?」
「えっと……」
「あ、もしかしてコレだと思ってる?」
にやりと笑いながら先輩が小指を立てて、“彼女”を示す。
心の中を読まれたのかと思ってドキッとしたけど、私は素直に白状することにする。
「……まぁ普通に考えて、そうかなと……」
「ふ、期待してるところ悪いけど、違うよ。彼女とかじゃないから」
「そ、そうですか……。じゃあ、お友達とかです?」
「いや。ふたつ違いの妹がいるんだけど、そいつ」
「えっ? 先輩、妹さんいるんですか?」
「ん、意外?」
「あ、いえ、そういうわけじゃないんですけど、初耳だなって思って」
またひとつ、先輩の情報をゲットだ。
実家に住んでいるっていうのは初めて会った時に聞いていたけど、家族の話まではしなかったし、聞けるなんて思ってなかったから聞けて嬉しい。
もしかして私に構ってくれるのって、妹さんがいるからなのかな?
先輩のふたつ下なら年齢も近いし、妹のように思われてるのかも……。
そう知れば、やっぱり先輩にとって、私は恋愛対象になんてならない存在なんだな……と納得がいってしまう。
……って、もうそういう空しくなることを考えるのはやめよう。
せっかく先輩と一緒にいるんだから、楽しく過ごしたい。