モノクロ
「さきこのところは仲良さそうだな」
「私は普通だと思ってるんですけど、友達にもよく“仲いいね”って言われるんですよね。先輩は妹さんと仲良くないんですか?」
「いや、うちも普通、だよ。……似た者兄妹、ってやつかな」
「やっぱり小さい頃からいつも一緒にいると似ちゃいますよね。でも、見た目で言えば私は弟と妹とは全く似てないんですよね~。まるで私だけ血が繋がってないみたいに」
「……血が?」
私の言葉に対して先輩がハッと真面目な表情をして聞き返してきた。
変な誤解させちゃったのかも、と慌てて手を左右に振って否定する。
「あっ、もちろん実際は両親同じだし、ちゃんと血は繋がってますよ? 私が父親似で、弟と妹が母親似ってだけで」
「あぁ、そういうこと……。あるある、だな」
「ですです。佐々木家は極々普通の家族ですから。まぁ、弟と歩いてるとカップルに間違えられることはしょっちゅうですけどね」
「へぇ」
いつだったか、晴海とたまたま街で会って少しおしゃべりしていたら、雑誌のインタビューに捕まったことがあった。
もちろんカップルでもなんでもないから丁重にお断りしたんだけど。
晴海は私の友達いわく、“イケメン”らしい。
きっとインタビューされそうになったのも晴海の見た目のせいなんだろうけど、私にはそれがよくわからない。
まぁ弟だし、そういう目で見たことがないから、わからないだけなんだろうけど。